竹バッグの出来るまで
ここでしか出会えない、本物の魅力、拘り
厳選された国産の竹を使用
ヒゴ作りが悪ければ、どんなに名人が作っても、良い作品は生まれない。
編む技術はもちろんですが、まずは良い材料選びとヒゴ取りが命です。 (※ヒゴ:竹を割ったり剥いだりしてかごを編む材料のこと)
機械では決してまねできない繊細な作り、使い込むほどに柔らかく美しい艶が増し、
経年変化を楽しめる「長く」「毎日」愛せる竹バッグが生まれます。
- 製作工程 -
・竹磨き
表面の硬い表皮を磨き取ることから始まります。
竹の表面は硬いガラス繊維で覆われていて、 それが竹の持つ艶を出しているのだが、
ガラス繊維のお陰で染料とか 漆がしみ込み難い。
そのため、竹細工独特の道具である「磨き包丁」を使い ガラス繊維を削り取っていきます。
少しずつ、幅3mmくらいずつ竹を回しながら 磨いていく。
この最初にする作業が作品を仕上げるときの最後の艶出しに答えが出てきます。
力を入れすぎて削り過ぎると艶がなくなってしまう。 力にばらつきがあると、表面に凸凹の傷ができてしまう。 磨く音を聞きながら、磨かれるときの熱を感じながら 均一に均一に剥ぎ取っていきます。
・菊割り
丸い竹を均等に割る作業である。
菊割と言う道具を使い、一遍に割っていきます。 (この道具を上から見ると菊の花の形をしていることから菊割と言われている)
・竹割り
バッグを編んでいくのに必要とするヒゴに合わせて、割り込みを入れ割っていく。
竹は一見真っ直ぐに見えるが良く見ると右に左に蛇行しています。
真ん中真ん中を目指して割っていくのであるが、 左右のバランスを崩すとどんどん弱いほうに割れていってしまいます。
単純な作業に見えるが神経を使う作業です。まっすぐ最後まで割るには3年掛かると云われています。
・竹剥ぎ
ある程度の巾に割った竹を今度は剥いでいく。
竹割りと同じでバランスが大事です。
表皮に近いほうが硬く強いので、少し薄く。 だいたい、6対4くらいの 割合で竹割り包丁を推し進めて行く。
包丁の刃の部分は最初に竹に裂け目を付ける時に使うだけで、後は手元に付いている胴金という部分で上下に押し広げていく感じで剥いでいきます。
・巾取り
竹剥ぎで薄くして1ミリ以下の厚みになった竹を水に漬けておき少し柔らかくし、 銀杏の木に2本のナイフを打ち込み、その間に1本1本竹ヒゴを通していく。 2本のナイフの間隔が出来上がるヒゴの巾になります。
2本の刃の角度、ヒゴを引く方向、刃物の切れ味。この三つが巾取りをする時の3大要素です。
・面取り
巾取りを終え、一定の巾になったヒゴの角を落とす作業である。
巾取りの時と同じく、2本のナイフを銀杏の木に打ち込み、今度はヒゴに対して直角になるようにナイフを立てます。
右手でヒゴを引き上げるように引き込む、左手は押さえ竹でヒゴを上から押さえる。 このときの力加減で深い面を取ったり、浅い面を取ったり調節していきます。この面取りの深さでバッグの表情が変わっていきます。
ヒゴの厚みを計算に入れてどれくらいの力で抑えるのかを考える。面取りが浅いと少し硬い表情になるし、 かといって力を入れすぎて深い面取りをするとヒゴが凸凹してしまいます。
・銑引き
銑引きでは最後の厚みをそろえていきます。
厚さを0.3ミリにするのか、0.35ミリにするのか最終調整するのである。
竹細工の場合は巾よりも厚みの違いの方が影響し、たった0.1ミリでも全然違った感触になります。
特に細かい網代編みの場合は編み目に隙間ができたり、持ったときの手触りに格段の違いが出てしまいます。
銑引きの台の上に刃物をセットし下の鉄の台と刃物の間に薄い竹を噛ませ、 その隙間をどれだけにするかで厚みを決めていく。隙間に1本1本ヒゴを通して厚さを揃える。 几帳面な作品を作るときには欠かせない行程です。
・染色 下染め
当工房ではヒゴの状態で下染めし、形が出来上がってからもう一度染めています。
バッグなど普段から持ち歩き動きの激しい物はどうしても、編み目にヅレが出てきてしまいます。 そんな時下地の染めていない部分が出てくると見た目が良くないので、 下染めすることで、多少編み目が動いても見た目にはまったく判らなくなるのです。
・底編み
バッグの底になる部分を編んでいきます。
・立ち上げ
底編みをした竹を熱であぶり、立ち上げていきます。
真っ直ぐに横に広がった編地を角の所に熱を当て、直角に熱で曲げていきます。
角の部分の左右になっているヒゴを編み上げ、全体の側面がつながるようにしていきます。
・縁の取り付け
縁を付ける時には、傾きがないように細心の注意を払います。
適当な長さにヒゴの先を切りそろえ、外縁、内縁で挟み込み、針金で仮止めします。 その後、籐でしっかりと止めていきます。
・本染め
材料を沸かして染めていきます。
薪の焚き方から、染料の調合、色合いを見ながら時間を決め染めていきます。
・漆塗り
当工房では、漆を2回掛けています。
1回目で下地を作り、2回目で仕上げの漆と白い埃の様に見えるが、蝋のパウダーを降り掛け、刷り込んでいきます。
そうすることで、編み目が浮き出たような模様をかもし出し、上品な質感と艶を出してくれるのです。
後は、「室」(廃材やサッシなどを利用した自作の物です。)という乾燥器に入れて乾かしていきます。漆というのは、乾いた所では乾かない。素人考えで考えると、乾燥していたほうが乾くように思えるのだが、 漆の場合は逆で、湿気が無いと乾かないのです。適度な温度と湿度があると、どんどん乾いていきます。
・袋付け
出来上がったバッグに内袋を付けていきます。
バッグにあった布(大島紬や木綿など)を選び、ひとつひとつ採寸し、それに合わせて内布を縫い、取り付けていきます。